全国大会

大会プログラム等

〇2022年度全国大会のお知らせ 第49回全国大会(オンライン大会)

大会テーマ:「「時代」の中の藤村――生誕150年を記念して――」 大会開催日:2022(令和4)年11月12日(土)10:00~15:00 詳細はこちら(大会ポスター) 〇第48回(2021年度)全国大会 新型コロナウィルス感染症防止のために次年度へ延期 〇第47回(2020年度)全国大会 新型コロナウィルス感染症防止のために開催中止 〇第46回全国大会 木曽福島大会 2019年9月28日(土) 研究大会 29日(日) 臨地研究 大会会場 木曽町文化交流センター (長野県木曽郡木曽福島5129番地) 大会テーマ 「藤村と「木曽福島」―『家』を再読する―」

   9月28日(土)研究大会プログラム  10:00~17:50 総合司会  友重 幸四郎(四国大学) 9月28日(土)9:30  受付開始 10:00  開会の辞 宇野 憲治 (大会実行委員長・比治山大学名誉教授) 会長挨拶 細川 正義 (島崎藤村学会会長・関西学院大学名誉教授) 来賓挨拶 山瀬 明弘 (木曽町教育委員会教育長) 第一部 10:10~11:40 研究発表  木曽の近世史と『夜明け前』 関 秀雄(長野県野沢北高等学校 非常勤講師) 『夏草』の考察 ―「農夫」を中心に― 伊狩 弘(宮城学院女子大学) 司 会 小林 明子(白百合女子大学) 昼食:休憩 11:40~12:40   12:40~13:40 講 演   下山 孃子(島崎藤村学会副会長・大東文化大学名誉教授) 題目: 藤村のイブセン受容 ―「幽霊のような白い馬」(『ロスメルの家』)とは?―

 第二部 13:50~16:20 シンポジュウム「島崎藤村『家』を再読する」 司会・コーディネーター   細川 正義(島崎藤村学会会長 ・関西学院大学名誉教授) 発題者 『家』と高瀬家      熊谷 かおる氏(高瀬家資料館) 想うこと         井口 利夫氏(島崎藤村散歩の会代表) 〈家意識〉はどのように変容したか 関谷 由美子氏(島崎藤村学会理事)

 16:30 閉会の辞  川島 秀一 (元山梨英和大学

 総会 16:50~17:50 1 事業報告・永渕 朋枝(島崎藤村学会事務局長) 2 会計報告・五十里 文映(島崎藤村学会会計) 3 その他

 懇親会 18:30~20:30 木曽町文化交流センター 大会議室(2F)  司 会  水野 永一(島崎藤村学会理事)   第45回 ①プログラム 平成30年度島崎藤村学会第45回全国大会 城崎大会 総合司会 川島秀一(山梨英和大学名誉教授) 「島崎藤村文学における〈旅〉の意義―『山陰土産』の〈旅〉をめぐって―」 日時 2018年9月29日(土) 10時~16時20分 場所 兵庫県豊岡市豊岡市民会館大会議室(豊岡市立野町20-34) 9:30  受付開始 10:00 開会の辞 細川正義(大会実行委員長・関西学院大学名誉教授) 会長挨拶 神田重幸(島崎藤村学会会長・東洋大学名誉教授) 〔第一部〕 10:10~10:50 研究発表 栗原悠(早稲田大学大学院) 「山陰土産」における「名家」と「素人」 司会   中山弘明(徳島文理大学) 11:00~12:00 講演   宇野憲治(比治山大学名誉教授) 題目:島崎藤村―旅と人生― 昼食:休憩 12:00~13:15 〔第二部〕 13:15~16:00 シンポジュウム「島崎藤村『山陰土産』の〈旅〉」 司会・コーディネーター 村上文昭(元関東学院大学) 発題者 城崎温泉「ゆとうや旅館」社長 飯田由美氏 鳥取市小銭屋旅館女将 小谷悦子氏 「野村君」のお孫さん 野村剛氏 益田市 大谷嘉助御孫娘 大谷智子氏 16:00 閉会の辞 下山孃子(島崎藤村学会副会長・大東文化大学) 総会 16:20~17:20 1. 事業報告・小林明子(島崎藤村学会事務局長・白百合女子大学) 2. 会計報告・三輪眞理子(島崎藤村学会会計) 3. その他 懇親会 18:30~20:30 城崎温泉「つたや」旅館  司会 友重幸四郎(四国大学) 第44回 2017(平成29)年 大東文化大学(東京都板橋区) 第43回 2016(平成28)年 小諸市民交流センター(長野県小諸市) 第42回 2015(平成27)年 仙台ガーデンパレス(宮城県仙台市) 第41回 2012年(平成26)年 神戸女子大学三宮教育センター(兵庫県神戸市) 第40回 2013(平成25)年 県立神奈川近代文学館(横浜市) 第39回 2012(平成24)年 国民宿舎サンライズ九十九里(千葉県山武郡) 第38回 2011(平成23)年 四国大学交流プラザ(徳島県徳島市) 第37回 2010(平成22)年 穂高会館(長野県安曇野市) 第36回 2009(平成21)年 東洋大学(東京都文京区) 花袋研究学会と合同開催 第35回  2008(平成20)年 中津川中央公民館(岐阜県中津川市) 第34回  2007(平成19)年 関西学院大学(兵庫県西宮市) 大韓民国日本語文学会と合同開催 第33回  2006(平成18)年 かんぽの宿磯部(群馬県安中市) 第32回  2005(平成17)年 仙台文学館(宮城県仙台市) 第31回  2004(平成16)年 南木曾会館(長野県木曾郡南木曾町) 第30回  2003(平成15)年 竹林院群芳園(奈良県吉野市) 第29回  2002(平成14)年 慶州大学校(韓国慶州市) 大韓民国日本語文学会と合同開催 第28回  2001(平成13)年 比治山大学(広島県広島市) 北村透谷研究会と合同開催 第27回  2000(平成12)年 長野県短期大学(長野県長野市) 第26回  1999(平成11)年 岩村町公民館(岐阜県恵那郡岩村町) 第25回  1998(平成10)年 小諸市市民会館ホール(長野県小諸市) 第24回  1997(平成9)年 五島軒ホール(北海道函館市) 第23回  1996(平成8)年 明治学院大学(東京都港区) 第22回  1995(平成7)年 一関文化センター(岩手県一関市) 第21回  1994(平成6)年 神奈川近代文学館(神奈川県横浜市) 第20回  1993(平成5)年 馬籠文化センター(長野県木曾郡山口村) 第19回  1992(平成4)年 甲南大学(兵庫県神戸市) 第18回  1991(平成3)年 上智大学(東京都千代田区) 第17回  1990(平成2)年 諏訪市文化センター(長野県諏訪市) 第16回  1989(平成元)年 木曾福島会館(長野県木曾郡木曾福島町) 第15回  1988(昭和63)年 東金文化会館(千葉県東金市) 第14回  1987(昭和62)年 京都女子大学(京都府京都市) 第13回  1986(昭和61)年 川越市立図書館(埼玉県川越市) 第12回  1985(昭和60)年 大津市観光会館(滋賀県大津市) 第11回  1984(昭和59)年 湯島ガーデンパレス(東京都文京区) 第10回  1983(昭和58)年 高知大学(高知県高知市) 第9回  1982(昭和57)年 ソニー学園湘北短期大学(神奈川県厚木市) 第8回  1981(昭和56)年 鳥取大学(鳥取県鳥取市) 第7回    1980(昭和55)年 大磯町立大磯小学校(神奈川県中郡大磯町) 第6回    1979(昭和54)年 帝塚山短期大学(奈良県奈良市) 第5回    1978(昭和53)年 東北学院大学(宮城県仙台市) 第4回    1977(昭和52)年 明治学院大学(東京都港区) 第3回    1976(昭和51)年 小諸市藤村記念館(長野県小諸市) 第2回    1975(昭和50)年 大津社会教育会館(滋賀県大津市) 第1回    1974(昭和49)年 甲南女子大学(兵庫県神戸市) 第46回全国大会 報告

  第46回 島崎藤村学会全国大会「木曾福島大会」報告 大会実行委員長   宇野 憲治 令和元(2019)年度の第46回島崎藤村学会全国大会木曾福島大会は9月28日(土)・29日(日)に藤村の『夏草』・『家』・『夜明け前』ゆかりの地のひとつ、長野県木曽町福島の「木曽町文化交流センター」を会場に、「藤村と木曾福島 -島崎藤村『家』を再読するー」というテーマの下、「島崎藤村文学散歩の会」の協賛・「木曽町教育委員会」の後援を得て開催されました。 藤村が木曾福島の姉の家に滞在したのは、明治31年7月中旬から9月19日までです。その間の様子は『夏草(後がき)』や『家』冒頭に詳しく描写されています。 今回の木曾福島大会は30年ぶりの再訪となります。第16回大会では長野県立短期大学の鈴木昭一氏が実行委員長を務め、「『夜明け前』と木曽路」と題したシンポジュウムが開かれました。伊東一夫先生の司会で、パネラーとして手塚山短期大学の鈴木昭一氏・高阪薫氏・新井正彦氏が名を連ねています。文学散歩は2日間に渡って行われ、1日目の午前中、木曽福島市街(高瀬家資料館・山村代官屋敷・木曾福島関所跡・福島関所資料館等)巡った後、王滝村を訪れ、宮司の滝さんの案内で御嶽神社参詣し、『夜明け前』と縁の深い滝さんの旅館に宿泊しました。翌日の2日目には、普段一般の人は入れないという瀬戸川自然林へ、また、赤沢休養林で散策や昼食を楽しみました。この大会に関しては、『島崎藤村研究』第18号に秋山繁雄・柿沼聡子の筆になる詳細な大会報告が掲載されています。 今回の大会では、宿舎は「自由旅クラブ 木曽三河家」にお願いしました。懇親会場としては、大会の会場であった「木曽町文化交流センター」を使用させていただきました。臨地研究は、第16回大会の1日目とほぼ同じコースで木曽町福島の市街を散策しました。 28日の研究大会は、10時よりの開催でした。総合司会は四国大学の友重幸四郎氏にお願いしました。細川正義会長の挨拶・来賓の山瀬明弘木曽町教育委員会教育長の挨拶の後、研究発表に入りました。 研究発表の司会は白百合女子大学の小林明子氏にお願いしました。最初の研究発表は、長野県野沢北高等学校非常勤講師の関秀雄氏の「木曽の近世史と『夜明け前』」と題したもので、パワーポイントを用いた熱のこもった発表でした。発表の内容は、木曽の御料林を巡る諸問題とその払い下げについてでした。島崎藤村『夜明け前』の主人公・青山半蔵(藤村の父正樹)の木曽御料林払下げ請願運動はどのようになされ、どのように挫折したのか、その後を受け継いだ正樹の次男広助は、下賜金交付の請願へと方向を転換させ、最終的に毎年2万円ずつ数十年間の金を下賜させることに成功しましたが、広助はなぜ下賜金交付へと運動を転換させたのか、なぜ下賜金交付に成功したのか。多くの資料を駆使してその経緯を説明された説得力のある発表でした。 2番目の研究発表は、宮城学院大学教授の伊狩弘氏の「『夏草』の考察―「農夫」を中心に―」と題した発表でした。『夏草』の中の長編劇詩「農夫」を取り上げ、そのポリフォニックな構成を分析し、そこにプロテスタンティズムに近似した人間肯定観や労働による救済という観念や、現実の追認や予定調和的展開が見られ、一種の宗教性があるというものでした。 昼食を挟んで、午後12時40分から13時40分までの1時間は、大東文化大学名誉教授で島崎藤村学会副会長の下山孃子氏の「藤村のイブセン受容―「幽霊のような白い馬」(『ロスメルの家』)とは?―」と題する講演でした。藤村は、生涯を通じて、30回にも及ぶイブセンへの言及を行っているという指摘、そこには明治40年代の文壇のイブセン流行もあったようですが、特に藤村はイブセンを高く評価したとのことです。小説『家』下巻第九章に、黒船の図を見て「これは幽霊だ」と言う三吉が描かれていますが、イブセンの『ロメルスの家』の影響が強く見られるということでした。また、藤村は『人形の家』よりも『幽霊』や『ロスメルの家』を高く評価していたという内容でした。坦々とした中に味のある説得力をもった講演でした。 シンポジュウムは「島崎藤村―『家』を再読するー」というテーマのもと、島崎藤村学会会長・関西学院大学名誉教授細川正義氏の司会で進められました。パネラーには高瀬家資料館の熊谷かおる氏・藤村文学散歩の会代表の井口利夫氏・島崎藤村研究者の関谷由美子氏を迎え、この三人を発題者として、自然主義文学の代表作品として普遍の価値をもつ『家』を、その作品を生みだした木曽福島に於いて改めて読み直すことの意義について討論しました。 発題者である高瀬家資料館の熊谷かおる氏は、「『家』と高瀬家」と題して発題されました。熊谷かおる氏は『家』作中の「幸作」のお孫さんで、高瀬家の存在を核のところに触れた発言を熱ぽく語って下さいました。高瀬家の養子となった嘉助(『家』の幸作)さんが藤村の所へ行くと、「秀吉が来た、秀吉が来た」と言われたのはショックでしたと話されたのには驚きました。熊谷かおる氏の祖父に当たる嘉助さんは「高瀬家のために懸命に努力したのに、『家』の中ではあまり良く描かれていないのは少し恨みに思う」と、『家』の評価に触れた発言には、なるほどと首肯するものがありました。発表制限時間を大幅に超えた発表でしたが、切々と訴えるものがあり、もっと聞きたい思いに駆られて、発表が終わった時には会場から思わず拍手が起こったほどでした。 藤村散歩の会代表の井口利夫氏は「想うこと」と題しての発題でした。『家』の中の、木曽福島の有名な「みこしまくり」の時の様子、「みこしまくり」の前の飾りや鳳凰を外す様子等、読んだだけで、血が騒ぐほどの迫力のある描写力には驚いたということでした。また、時代の中で翻弄されつつも懸命に立ち向かって行った広助(『家』の森彦)の〈旧家〉気質について、経歴を踏まえながら明快に分析し、豪快に己の名誉を大切にした人の一端が描かれていることを指摘されました。 島崎藤村学会理事の関谷由美子氏は「〈家意識〉はどのように変容したか」と題して発題されました。江戸時代から明治への大きな転換を余儀なくされていく〈家構成〉の変容の描かれ方について、〈旧家〉と〈新しい家〉を対峙させて検討し、その具体として、『家』に描かれた、独身者(青年)の都市への移動によって風化・崩壊して行く〈旧家〉小泉家と、〈旧家〉をイデオロギーとしてのみ受け継いでいく明治の新中間層たる三吉の〈新しい家〉とを対照的に述べられました。一例を挙げれば、旧家は〈定着、定住〉の相において描かれるが、三吉の家は,〈流動、漂泊〉の相を帯びていると結論づけられました。 三名の方々はそれぞれの立場から、『家』を再読してみたくなるようなお話をして下さり、特に、熊谷かおる氏からは嘉助さんお孫さんならではの貴重なお話も聞かせて頂き、大変有意義なシンポジュウムとなりました。 シンポジュウムの後、山梨英和大学名誉教授川島秀一氏による閉会の言葉で大会は終了し、あと総会に移りました。 この大会参加者は90名近くにもなりました。80部用意した大会資料が不足し、何人もの方にお断りしご迷惑をおかけした次第でした。とても済まなく思っております。藤村学会の会員の方の参加が40名、藤村文学散歩の会の方をはじめ地元の方々の参加者が思いの外多かったのには、主催者側として、大変嬉しいことでした。また、この会場で、プロジェクターの操作・照明・舞台設定等、裏方として終始見守って下さっていた中西章氏には厚く感謝申し上げます。 総会の後、研究発表会場と同じ「木曽町文化交流センター(大会議室)」で懇親会を持ちました。スピーチでは、皆さんが「充実した大会であった」と、大会に出席した喜びを語って下さったことに企画委員一同胸をなでおろしました。また、水野永一氏の名司会で懇親会が盛り上がり、井口利夫氏の美声で木曽節等の歌をお聞きすることが出来たのは、望外の喜びでした。懇親会参加者は招待客を含めて34名でした。 翌日29日は木曽町福島市街の臨地研究でした。天気予報では雨になるとのことでしたが、幸いにも青空が見えるまでの天候でした。帰りの電車のこともあり、少し早かったのですが、朝8時に「三河家」からの出発でした。「三河家」に荷物を預けた後、まちの案内人代表の川村弘士氏の案内で、木曽教育会館・山村代官屋敷・興禅寺の(木曽義仲・武居用拙・遠藤五平太)の墓・御料館・木曾福島関所跡・福島関所資料館・高瀬家資料館と巡り、そば処「かしわ屋」で昼食をとりました。その後、高瀬家の墓地に参り、祭り会館で一応の解散、「三河家」に荷物を預けた人は荷物を取って木曾福島駅に向かいました。上り坂下り坂、おまけに階段も多かった市街巡りでしたが、一人の落伍者も怪我人もなく、無事に臨地研究を終えることが出来ました。臨地研究参加者は31名でした。 今回は、木曽町福島の地に大会の準備を担うメンバーがおらず、安曇野在住の藤村学会理事の水野永一氏のお世話になりました。 現地では、藤村文学散歩の会代表井口利夫氏、藤村文学散歩の会事務局長・木曽町福島公民館長の中西章氏に大変お世話になりました。教育委員会の後援・藤村文学散歩の会の協賛もあり、また、中西章氏のお陰もあり、全ての会場を無料で使用させていただきました。本当にありがとうございました。 また、学会員一人一人に協力を頂いたことは言う迄もありませんが、地元の方など、とりわけ藤村文学散歩の会の皆様方をはじめ、多くの皆様方の御協力を得て大会を盛会裏に終えることが出来ましたこと、改めまして深く感謝申し上げます。

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